スギ木部での遺伝子発現を網羅解析し 心材ノルリグナンの生合成と心材形成に関与する 遺伝子群の同定を目指す
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(関連记事:山村先生、高大連携の取り組みや「森林代謝学分野」発足のきっかけ)
スギに着目した地域密着の研究

「ちょうどコロナ祸と重なり、活动が制限されたこともあり、
実験に没头できた」と话す山村先生。手前にある木片には、サ
ンプル抽出のために无数に空けた穴があいています。
3年前、徳岛大学へ赴任したことをきっかけに、地域と関わりのある研究をやろうと、徳島県産のスギに着目した山村先生。
徳岛は古くからスギの产地として知られ、豊かな自然环境とスギの生育に适した気候条件により、高品质なスギが育つ地域として発展してきました。
スギは建筑材として活用され、中央の色の浓い部分を心材、周りの白っぽい部分を辺材といい、心材は主に柱や梁、床材として、辺材は板材として使われます。
心材は家の构造的に重要な部分に使われますが、それは心材が耐久性や强度に优れているだけでなく、様々な抗菌成分が蓄积していて腐りにくいためです。
抗菌成分が多く蓄积する心材の形成は树木特有の现象ですが、心材形成については未だ谜が多く残っています。そこで山村先生は心材が形成される仕组みや、それに関わる遗伝子を解き明かそうと研究を始めました。
意外と知らない树木の特性
树木は组织のほとんどが死んでいます。生きているのは树皮から数年轮分だけ。
年を経るごとに大きくなる树木は、全体を生かしておくには莫大なエネルギーが必要なため、生きた部分を极力减らし、死んだ组织は物理的に树体を支えるだけの役割を担っています。
それなのに内侧から腐って倒れることがないのは、心材を作る过程で抗菌成分を蓄积しているから。しかし心材がどのタイミングで形成されるのかは树种によっても异なり、何がきっかけで心材が形成され始めるのかは解明されていません。
その理由を突き止めようにも肝心の心材部分の细胞はすでに死んでいるので、遗伝子の动きをたどることができません
では、どのように研究を进めたのか?
研究室のテーブルの上に置かれた穴だらけの木片にヒントがありました。
「部分的にですが、わずかに生き残っている细胞があって。干の真ん中から外侧へと放射状に伸びる放射柔细胞というのがあるのですが、この细胞は比较的长生きなのでそこから遗伝子情报を取得できるかなと」。
放射柔细胞は顕微镜で见えるレベル。木の表面を见てもどこにあるかわからないので心材形成领域を中心に几つかの年轮をそれぞれドリルで穴を开け、木粉を液体窒素に落とします。细胞を生きたまま冻结し、通常の数百倍の植物试料量を使って、ひたすら搁狈础(※)を取る日々を繰り返した山村先生。
その结果、おもしろい情报を得ることができたといいます。
※搁狈础(リボ核酸)とは、生命体の遗伝情报が记録?保存されている核酸の一种。顿狈础の遗伝情报をもとにタンパク质を合成する情报伝达物质としての役割がある。

スギの心材部は赤いことから「赤心」と呼ばれていますが、まれに中央部分が真っ黒な「黒心」ができることも。
见た目も悪く、水分含有率が高いため、製材业者からは好まれないそうですが、
心材形成の仕组みが分かれば、「黒心」を作らない方法も分かるかもしれません。
谁もやらないから「やる」 树木研究の一助に
草本植物に比べ成长が遅く、検証には数年単位の时间がかかるため、树木の分子生物学的な研究は「あまり皆やりたがらない」、ニッチな分野。そのため海外の论文も割合としては少ないといいます。
「研究が进まないからこそ、后世の人のためにもこういう研究が必要なんじゃないかなと思ってやっています。僕が生きているうちに决着できるか、わからないんですけど」。
现在、データを精査中ですが、心材の成り立ちに関わりのある成分から手がかりを得ることができそうだといいます。
「心材に特异的に蓄积する抗菌成分の一种にノルリグナンという化合物群があり、それらは心材形成の时期と连动して生合成されます。これまでノルリグナン类の一种であるヒノキレジノールの生合成研究に取り组んできた経験から、スギ木部での遗伝子発现を网罗解析し、心材ノルリグナンの生合成遗伝子を同定できれば、それと连动する心材形成関连遗伝子群を见出せるはずと考えています」。
この研究がうまくいけば、心材部分の多い树木の创出や天然成分由来の防腐剤の开発など、高付加価値の木材の开発が见込まれます。
徳岛県は県土の75%が森林。安価な输入木材に押され、国产材の需要も低迷しています。この研究は林业の未来を大きく変える可能性を秘めています。

高大连携にも注力 新野キャンパスでの取り组み
生物资源产业学部 森林代謝学分野の研究室は、常三島キャンパスから車で1時間ほど南に走った徳島県立阿南光高校新野キャンパス内「とくしまイノベーションセンター」にあります。
生物资源の研究室は础1?础9など、番号で呼ばれていますが、外部の人にも研究内容が少しはわかるような研究室名をつけようと、木材腐朽菌や外生菌根菌の研究を手がける服部先生と植物の代谢を研究する山村先生の2人によって「森林代谢学分野」と名付けられました。
阿南光高校内にあることから、大学の研究に高校生のうちから兴味をもってもらおうと、高大连携授业も担当しており、それ以外にも放课后や休日に同高校の「バイテク?农业クラブ」や「あこうバンブークラブ」の生徒と一绪に実験をすることも。身近な事柄に疑问を持ち、実験や研究の楽しさを伝える取り组みも行っています。
今回绍介した研究以外に山村先生は植物が生み出す有用成分に関する研究や、その成分に関わる遗伝子やたんぱく质を解明する研究、バイオマスの资源の有効活用、薬用植物の研究なども行っています。兴味のある人はぜひ、新野キャンパスを访ねてみてください。

新野キャンパスで培养中のスギの幼苗。
「新野キャンパスは研究室が少し広いので、生きた植物试料の培养装置なども置けて助かります。
徳岛市中心部から离れていますが、研究するには良い环境です」。
大学院社会产业理工学研究部
生物資源産業学域 生物生産系 生物資源生産科学分野 准教授
山村 正臣(やまむら まさおみ)

