最先端研究探訪(とくtalk163号 平成28年4月号より)

トップ记事最先端研究探訪(とくtalk163号 平成28年4月号より)

研究の最先端を临床の最前线へ~医工连携によるモバイル型アフェレシス装置の开発~

img89_86.jpg

?

より优れた医疗机器の研究开発に取り组む
img101.jpg

先端技术を医疗现场に届ける方法のひとつに、治疗や诊断に役立つ医疗机器の研究开発があります。
今回紹介するのは、まるで昨年の「下町ロケット」というドラマのような、大学と医療分野の新規参入にチャレンジする中小企業が連 携することによって、これからの先進医療を支えていくアフェレシス装置の研究開発を行っているプロジェクトです。

アフェレシス(分离するという意味)疗法の一つに胸腹水滤过浓缩再静注法(颁础搁罢)があります。
癌や肝硬変によって溜まった胸腹水を体外へ排液し、滤过器で细胞成分や细菌を除去して、浓缩して点滴する治疗法です。抗癌剤治疗や手术との併用によって末期癌の救命効果があることや、採取した癌细胞の癌ワクチンへの応用の可能性が报告され、これからの癌治疗を支える治疗法としての必要性が高まってきています。

しかし滤过浓缩する手技が烦雑であることが原因で、施行できない病院や施设も多いそうです。そこで工程を自动化し、さらに大量の腹水処理が可能な新しい颁础搁罢用装置の开発が望まれています。

冈久先生は、この课题を解决するために、従来の製品や技术に研究成果(副作用の原因解明、目詰り対策、尝贰顿杀菌?细胞制御技术など)や工夫を加え、安全で简単に使用できる、安価な新しいモバイル型医疗机器とその周辺机器の研究开発?製品化に取り组んでいます。

平成25年に「课题解决型医疗机器等开発事业(経产省)」に採択され、3年间で2亿円をかけての新しい装置开発が始まりました。

?

?

コンソーシアムの结成(※1)
img83.jpgimg95.jpg
img80.jpg

研究開発に不可欠なのが、大学と連携して医療機器開発に積極的に取り組む、高度な技術と人材を有する企業との連携でした。先生 は沢山の企業を模索する中、「LEDバレイ徳島構想(※2)」の関連企業である(株)タカトリ(奈良県)と出会いました。

同社は、尝贰顿半导体や液晶などの製造分野で、世界の9割以上のシェアを占める机器を製造贩売している、高い技术力を持った中小会社でした。しかし越えなければならないハードルがありました。
タカトリは医療分野新規参入企業であったため、医療機器の法規制や事業化の知識と経験がなかったのです。また研究者の立場、企業 の考え方の違いもあり、
「激しい议论になることもありましたが、とにかくフットワーク軽く出向いて行って、事业の伴走コンサルなど有识者の指导を受けながら次第に理解も深まり、ほんとうに良いパートナーとなっていきました」
と、先生は感慨深く思い返されます。

?

?

img77.jpg
ベイラー医科大学留学中に能势之彦先生(右)と

徳岛大学藤井節郎記念医科学センター内に、集中研方式の研究開発室を構えました。これは岡久先生が留学していた「米国ベイラー医科大学人工臓器開発センター」で、人工臓器の父と言われた能勢之彦(1932~2011)先生に学んだものです。
「医学(医学部?病院)と工学(公司?工学部)の医工连携で、研究开発者や大学院生が一つの部屋で研究开発を行うもので、工学系の研究开発メンバーが医疗现场を知る机会にもなり、诊疗科との连携や人间関係の构筑と情报交换がスムースになって、迅速な开発が可能となりました」

さらに、徳岛大学産学官連携推進部の大学等シーズ?ニーズ創出強化支援事業(平成26年度、文科省)に加わって学んだイノベー ション対話ツール(※3)を応用。
「今までとは异なった着想により、1个のポンプで全ての処理を可能とする『マルチリング方式』が生まれました。また、ダンボール箱などを使ったラピッドプロトタイピング(试作品製作)により、公司メンバーとの打合せ时间が1/10に短缩しました」

?

  1. ※1 コンソーシアム 異なる分野の人や団体が一つのテーマ?目的のために集まること
  2. ※2 LEDバレイ構想 徳島県にLEDを利用する光関連産業の集積を図ることを目的として策定した構想
  3. ※3 イノベーション対話ツール 多様な参加者の対話に基づきノベーションを創出する確率を高めるための、ワークショップにおける具体的な対話の手法?手順

?

?

img113.jpg
img110.jpg
img92.jpg
医疗机器开発は谁のためか

世界の医疗机器市场は拡大倾向にあります。しかし国内市场は输入超过が続いており、日本の优れたものづくり技术が十分に活かされていない状况にあります。また、大学も强み?特色の重点化、グローバル化、イノベーションの创出、人材育成机能の强化が必要とされています。
「医疗机器开発の原点は、患者さんの命と家族の幸せを守りたいという热い思いです。また、医疗机器开発は、正当な利润を得るために公司が中心となって行うものです。大学と公司がお互いの立场を十分に理解し、双方のためになる関係を筑き、うまく连携していくことが必要です」

徳岛大学消化器内科、呼吸器膠原病内科、婦人科と関連病院の協力のもと、チームの力で3年間かけて完成した新しいCART用装置は、さらに臨床評価と改良が進められる予定です。
「医疗机器の研究开発を学生教育にも取り入れ、研究室配属の医学科3年生が日本人工臓器学会萌芽ポスターセッションで优秀赏をもらいました。また、诊疗支援先の公立学校共済组合四国中央病院(爱媛県四国中央市)にも创意工夫の気持ちが芽生え、次第に活気が生まれてきました。大学の3本柱は、研究、教育、地域贡献です。
医疗机器开発を単なるものづくりに终わらせることなく、医疗现场の将来ニーズを抽出し、大学での研究成果のプラットフォームとして医疗现场に届け、教育にも活用して、学会や论文を通してアカデミアの立场で広めていくことが我々の役割です。今后も、医疗机器开発の素晴らしさを知った人が一人でも増え、日本の医疗机器产业が活性化することを愿っています」
と、今后の抱负を热く语ってくださいました。

?

img107.jpgimg104.jpgimg98.jpg

?

?

岡久 稔也(おかひさ としや)のプロフィール
profile.jpg
  • 大学院医歯薬学研究部
  • 地域総合医療学分野 特任教授

?

[取材] 163号(平成28年4月号より)

カテゴリー

閲覧履歴

このページと関连性の高いページ