平成25年9 月 20日付け発行のネイチャー?コミュニケーションズ( Nature Communications)オンライン版で、疾患プロテオゲノム研究センター片桐豊雅教授?吉丸哲郎助教の研究グループの研究成果が発表されました。
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乳がんの約70%は女性ホルモンであるエストロゲン依存性であり、その受容体(エストロゲン受容体:ER)の活性化を通じて細胞増殖を促進します。その治療法としては、主に抗エストロゲン剤であるタモキシフェンをはじめとする内分泌療法が術後補助療法や進行?再発乳癌の标準治療法として行われており、顕著な生存維持に貢献してきました。しかしながら、タモキシフェンの長期服用による耐性獲得、副作用の出現や不応例が存在し、深刻な問題となっており、耐性機構の解明および新規治療法の開発は喫緊の課題でありました。
疾患プロテオゲノム研究センターゲノム制御分野の片桐豊雅教授?吉丸哲郎助教の研究グループは、これまでに網羅的遺伝子発現解析を通じて、乳がんに特異的に発現亢進を認める新規ER活性化制御分子BIG3 (Brefeldin A-Inhibited Guanine nucleotide-exchange protein 3)を同定していました。今回、エストロゲン依存性乳がん細胞の増殖には、BIG3によるERシグナル抑制因子PHB2の抑制機能制御が必須であることを見いだし、新たな乳がんにおけるBIG3を介したエストロゲンシグナル経路を提唱しました(図1)。さらに、BIG3-PHB2の相互作用を阻害するBIG3-PHB2ドミナント?ネガティブペプチド(ERAPペプチド)を見いだし、これをER陽性乳がん細胞へ投与することでBIG3から解放されたPHB2のER活性抑制機能を回復させ、ER陽性乳癌細胞およびヌードマウスに移植した乳がん細胞において顕著な抗腫瘍効果を引き起こすことに成功しました。また、タモキシフェン耐性を獲得した乳がんに対しても顕著な抗腫瘍効果を示すことがわかりました(図2)。ERAPペプチドを基にしたBIG3-PHB2の相互作用阻害する治療薬が開発されれば、タモキシフェンによる治療に効果のない患者や、治療後に再発した患者にも有用となります。
叠滨骋3は乳がん细胞にのみ存在し、正常细胞には存在しないことから、抗がん剤において认められる重い副作用が起きないと考えられ、また贰搁础笔ペプチドの効果はエストロゲンの量や作用には影响しないため、従来の抗ホルモン剤がエストロゲンの働きを抑えるために起きる更年期症状といった副作用が起きないことも期待されます。
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(用语の解説)
ペプチド:アミノ酸が2个以上ペプチド结合(アミド结合)にて繋がった化合物の総称。
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叠滨骋3-笔贬叠2ドミナント?ネガティブペプチド(优性阻害ペプチド):笔贬叠2タンパク质と结合可能なアミノ酸配列を有するペプチドをいう。がん细胞内では、通常笔贬叠2タンパク质は叠滨骋3タンパク质と结合するが、このペプチドを投与することで细胞内の笔贬叠2は叠滨骋3タンパク质とペプチドとの竞合的な结合が生じ、その结果笔贬叠2と叠滨骋3の结合阻害が起きる。
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