[取材] 120号(平成17年7月号より)

大学院ヘルスバイオサイエンス研究部分子生物薬学分野
山内 卓 やまうち たかし
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脳の中で何が起こっているのか!
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脳の秘密は宇宙大
脳は人の体や心をつかさどる、例えばコンピュータの颁笔鲍にあたるものです。脳にしてもコンピュータにしても、さまざまな働きのもとになるのはデータやソフトの「记忆」であるといえるでしょう。しかし机械と违い、当然脳にはメモリもなければハードディスクもありません。しかしどこにどのように记忆を蓄えるのか、コンピュータよりはるかに大きな记忆容量を有しています。インターネットで调べてみますと、脳の记忆容量は约10テラバイト、あるいは新闻200万年分に相当する、というような表现がありました。
ではそのような膨大な情报を、脳はどこにどうやって记忆しているのでしょうか。メモリやハードディスクにあたるものがあるのでしょうか。そしてどのように予测や认识をしたり、経験したことを学习し、行动に活かしているのでしょうか。
体重のわずか2%という小さな脳ですが、宇宙と同じぐらい未知の世界な
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脳は使うほどに进化する
その脳の基本的なはたらきを分子レベルで研究しているのが山内先生です。
右図を见てください。赤ちゃんの脳の神経细胞を、生后まもなくと2年后で比较したものです。黒いかたまりが神経细胞で、体が大きくなっても细胞の数は増えません。2年も経つと细胞は突起を伸ばし、细胞と细胞は网の目のように结ばれます。脳の细胞と细胞がコミュニケーションして、そのネットワークがどんどん広がっていると言えばわかりやすいでしょうか。
わずかの期间にもいろいろなものを见闻きして学习し、神経のネットワーク网を増やしながら密にしているのがわかります。神経は広がるだけでなく太くなっていきます。流れる情报量も増え、学习したことを记忆することができるのです。
人の脳は学习や経験によってどんどん成长していくわけです。幼児期の教育が大切であるのは、その成长が着しく速いからです。また、神経ネットワークは学习によって作られるので、一人一人出来かたが异なり、これが人格を形成するもとになるものです。
逆に、年老いていくにしたがって神経も老化して、细胞数が减りネットワークも欠落していきます。年をとるとよくもの忘れするようになるのはこのためです。
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记忆をつかさどる海马
脳は身体の全てをコントロールしていますが、脳の场所によってコントロールする身体の场所が异なることは、実は18世纪から知られていました。
ところが脳の中で神経细胞の复雑なネットワークがどのようにつながって情报のやりとりをしているのか、あるいはどうして欠落していくのか、ということはいまだに详しいことがわかっていません。
脳に「海马」と呼ばれる部分があります。どうやら记忆にかかわる重要な部分らしい、ということがわかってきたのは50年ほど前です。记忆にはしばらくすると忘れる短期记忆と、ずっと覚えている长期记忆があります。
カナダでてんかんの患者が、治疗のために海马を切除しました。彼は手术前のこと(长期记忆)はよく覚えているのに、手术后のこと(短期记忆)は覚えられなくなってしまったのです。このことにより海马は、新しい记忆をつくるのに必要な场所で、短期记忆を长期记忆として保存していく働きがあるのではないかと予测されました。
30年ほど前には、海马の神経细胞の接続部(シナプス)には长期増强という他では见られない刺激反応があることがわかりました。海马の神経细胞は刺激すればするほど反応が大きくなり、长く持続するのです。これが记忆の基础过程と考えられ、この现象を调べることにより记忆のメカニズムが実験的に解析できるようになりました。
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| 山内卓 |
脳の研究はついに分子レベルに
山内先生は25年ほど前に、脳に多くあり、中でも海马に特に多い「カムキナーゼ滨滨(カルシウム依存性タンパク质リン酸化酵素)」を発见し、この酵素の働きを中心に研究を続けています。
カムキナーゼ滨滨は多くの种类のタンパク质と结びつきやすく、それらをリン酸化することでタンパク质の性质を変えるという特徴を持っています。タンパク质リン酸化は细胞が刺戟に反応して、その细胞の働きを调节するための重要な方法です。
カムキナーゼ滨滨は海马において、记忆や学习の过程、つまりシナプスの形成、シナプス伝达や机能调节などにおいて重要な役割を果たしています。
遗伝子操作したマウスの実験からカムキナーゼ滨滨が记忆?学习に直接関わる「记忆分子」であることが発见され、脳の仕组みがついに分子レベルの研究に到达しました。
カムキナーゼ滨滨とそれと作用する分子の働きを解析することにより记忆?学习のような复雑な脳の働きが分子の连続した反応として説明できると考えられたのです。最近では多くの研究者により、脳の様々な分子の働きが调べられ、脳の研究が大きく前进しました。
また、心や精神活动も脳の分子の働きで説明することができると考えられるようになりました。さらに、これらの分子の働きが、低下したり亢进し过ぎると様々な病気が引き起こされると考えられるようになりました。それでもまだまだ奥が深いのが人の身体です。
このような脳の基础研究が医学研究と连係し、共に発展することにより、人々は病気を克服し、心豊かに生活することができるようになることが期待されます。
ところで、医学の进歩はどこまで人の寿命をのばすのでしょうか。山内先生は、「寿命をのばすということよりも、死ぬまで心身ともに健康に生きるということの方が大事なのではないでしょうか」と言います。长寿时代をむかえると介护问题もクローズアップされますが、なるべくなら人の世话にはならず、自らの力で老后を健康で楽しく过ごしたいものです。
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