
疾患酵素学研究センター センター長
木戸 博 きど ひろし
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日本唯一の酵素学研究センター
世界の拠点を目指して!
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ここに新型インフルエンザの研究の最先端が
国内唯一の酵素学研究拠点となる同研究センター。日本トップレベルの研究力と长い歴史を持ち、国からの依頼を受けて最前线で取り组んでいるのが、ちまたを騒がせている新型インフルエンザです。この取材の时点(昨年10月)では、やっと医疗関係者にワクチンの接种が始まり、一般の人まで行きわたるのは2月になるかもしれないとニュースで言っていますが、さてどうなることやらと心配しながら原稿を书いています。
同センターがインフルエンザの研究をしているのは、酵素学が専門だからです。酵素はタンパク質の一種で、触媒の役目をしている生命活動の基本分子です。ですから病気の原因と治療法を解き明かすために、酵素の研究が不可欠となっています。インフルエンザの病原体はたった8個の遺伝子しか持っておらず、自らを繁殖させるためには、人や動物の酵素を借りなければならなく、この酵素の研究で重症化の仕組みや治療法がわかってくるのです。 同センターには国内はもちろん、世界中から最新の情報が寄せられ、また逆に海外の大学や研究所に情報を発信しながら、グローバルな研究を進めています。
では世界中を騒がせている今回のインフルエンザの、実态はどうなのでしょうか?
センター长の木戸先生は、「新型と言っても従来のインフルエンザと大差はありません。きちんとした予防や治疗を行っていれば恐れるものではないのです。マスコミや医疗関係者でさえも间违った情报を伝えていることがあり、混乱させています」と言います。一部死者が出ているのは、体质や他の病気との合併症による场合がほとんどで、やがてはこの新型も普通のインフルエンザのひとつになるそうです。
ただ现在のワクチンは感染を防ぐのではなく、肺炎など病状の悪化を防ぐ程度のもの。また国内でワクチンを作る大手の医薬品メーカーがないことなどの问题もあります。さらに抗ウイルス薬のタミフルはウイルス量を减らす効果がありますが、ウイルス量が减ったために次の感染を防止する鼻粘膜の抗体ができにくい欠点を持ちますが、免疫増强作用を併せ持つ抗生剤のマクロライドと併用して饮むと改善することを最近発见しています。
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新たなワクチンや治疗法の开発のために
将来のために、同センターでは新しいワクチンや薬の开発研究を进めています。そのひとつが、现在の皮下注射接种に代わって、鼻へ直接スプレーするワクチンです。注射だと抗体が血液中にしかできず、肺炎になってウイルスと血液中の抗体が直接触れるようになってから効力が出てきますが、スプレーでへんとう腺にワクチンを直接吹きかけることで鼻水の中に抗体を作らせると、予防効果は万全で早く効果を発挥します。これなら接种もスピーディで、ひょっとしたら家庭でも出来るかもしれません。しかしながら医薬の认定には、治験など时间がかかることもあり、実用化にはまだ数年かかるとのことです。
実は1992年、インフルエンザが感染する时に不可欠な体内酵素を世界で最初にこのグループが発见しています。さらに本年、强毒性鸟インフルエンザの感染に不可欠な体内酵素も同センターで発见しました。
現在、木戸先生の元には世界中から、问い合わせや講演の依頼が来ています。 「どんなに忙しくても、それが病気を減らす役に立つのなら、なるべく時間をとって出かけていくようにしています」
年间数亿という予算が国から下りてくる同センターの存在は、インフルエンザなどの感染症をはじめ、様々な疾患の原因を解明し、その予防法や治疗法を开発していくまさに日本の医疗の最先端の研究所です。

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人のため、医学のための酵素学研究を推进
同グループの研究の大きな成果に、世界初の高感度アレルギー诊断チップの実用化があります。
现代ほどアレルギー患者の多い时代はないと言えるかもしれません。その数は国民の3割、しかもその原因は多种多様で、ほとんど个人差と言えるほどです。これを赤ちゃんがお腹にいるときからわかるようにしたのが同チップです。また脐帯血から、生まれたばかりの赤ちゃんに、将来どのようなアレルギーが出てくるかを予测することも出来るようになりました。
お母さんから遗伝で体质を引き継いでも、お母さんが食事に気をつけて、赤ちゃんのアレルギーの原因となる物质をとらないようにして母乳を饮ませれば、防げるというのです。
このようにすぐに医疗の现场で役立つ高度な研究をモットーとして、同グループの研究员は学内にとどまらず、世界中に出かけて最先端の研究を进めています。「今回の新型インフルエンザの研究でも、奥贬翱(世界保健机构)から直接协力を求められています。日本の医学の発展のために、同センターが世界の研究拠点となるようにがんばっていきます」と语る木戸先生。案外、このような素晴らしい研究机関が我が大学にあることを知らない方も多いのですが、日本の最先端研究センターとして夸るとともに、世界の最先端としてますます期待が高まります。
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「酵素学を教えてくれた3人の恩师」右から |
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木戸 博氏のプロフィール

- 1947年 新潟県生まれ
- 1973年 弘前大学医学部卒業
- 1977年 徳岛大学大学院医学研究科修了
- 1979年 米国ロッシュ分子生物学研究所研究員
- 1981年 徳岛大学助手(医学部附属酵素研究施設)
- 1989年 徳岛大学助教授(酵素科学研究センター)
- 1993年 徳岛大学教授(酵素科学研究センター)より現職
- 1993年 国際蛋白質分解酵素学会 会長(2009-2012年)
[取材] 138号(平成22年1月号より)

