大学院ソシオ?アーツ?アンド?サイエンス(SAS)研究部 環境共生科学分野
真壁 和裕 [教授] まかべ かずひろ
渡部 稔 [准教授]わたなべ みのる
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生命の神秘にアプローチする研究
小分子R N A 研究の最先端に

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卵はどのようにして个体になるのか
今回は「研究室へようこそ」の ページでもRNA(リボ核酸)について紹介しています。医学部では治療や製薬といったことが目的に研究されていますが、SAS研究部では生命科学の観点から、生命そのもののメカニズムの研究が進められています。
よく「鶏が先か卵が先か」と言われますが、どちらにせよ卵は鶏になり、鶏は卵を产むわけです。この生命の不思议は、近年、遗伝子の研究により仮定から実証へと急激な进歩をしています。
現在、ヒトゲノム(人間の遺伝子情報)は約30億もの塩基からなる配列(構造)に由来し、生体の働きを司るタンパク質に対して、どのような情報が送られ ているかがほぼ解析されています。DNA(遺伝子)の設計図(情報)はメッセンジャーRNAにコピーされ、タンパク質の情報として翻訳され、それが最終的 に生物の姿や形、形状などを決定していきます。
しかしながら、これらの流れに乗らない小分子RNAというものが数千種以上もあり、これらがメッセンジャーRNAに何らかの影響を与え、例えば身長や体 重、個々の特性をコントロールしているのではないかということがわかり、さらに細分化されています。さらに、この現象を応用すれば、細胞の遺伝子の働きを 人為的に制御できるので、複雑な遺伝子の働きのネットワークを明らかにする上でも、とても有用なのだそうです。
真壁先生と渡部先生は、一つの細胞である卵が発生?分化して個体を形成していく上で、これらの小分子RNAがどのように影響を与えているのかという研究 に取り組んでいます。この過程を詳しく調べることで、例えばiPS細胞からさまざまな組織や器官を作り出すときにどうすればよいかなどが分かってくるはず だと考えられるのです。二人の研究内容は厳密には違いがありますが、共通点が多いため、独立のグループでありながらも研究器材や試薬などを共有しながら、 研究を進めています。
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ホヤ屋さんとカエル屋さん
二人の研究室の违いのひとつは、実験に使用する生物にあります。
真壁先生はホヤ(海鞘?脊索动物门尾索动物亜门ホヤ纲に属する海产动物の総称)を使っています。一般的にはなじみがない生物ですが、海の中には広く栖息し、発生学の材料として古くから世界中で用いられています。先生は京都大学の研究室の时代からこのホヤを使って研究していました。
海の中ではイソギンチャクのように岩にくっついていたりしますが、受精卵が孵化してオタマジャクシ型の幼生に発生することから、なんと人间と同じ脊索动物の仲间で、私たちの祖先に近い动物だと言われています。したがって、ホヤを研究することで、人间の遗伝子の进化やしくみが分かるのだそうです。
先生は年に一度、自ら东北地方まで採取に出かけます。このときは他の大学の研究者も集まり、みんなで协力して集めます。そのためにダイバーの资格も持っています。また陶芸にも兴味がありますが、作品はホヤの焼き物であるほどです。
渡部先生が使うのはアフリカツメガエル(ピパ科ゼノパス属のカエルの一种)です。一般的なカエルは年に一度しか卵を产まないのですが、このカエルはホルモン注射により排卵を诱発することができ、受精卵を常时入手することが可能です。また一生の间ずっと水中で生活し、エサも人工饲料が使えるので饲育が楽な点でも実験に适しています。
ハーバード大学でガンや疾病に関わる遗伝子の研究をしていたときからカエルを使ってたそうです。渡部先生の研究室にはカエルのキャラクターのグッズが数多く并んでいます。
カエルは養殖業者から箱詰めにされて宅配便で届けられます(写真のように生きたカエルがいっぱい詰まった荷物は、苦手な人にはちょっとショックかもしれませんね)。アフリカツメガエルは世界标準のモデル動物なので、日本でも多くの研究者が使っています。日本には「X C I J (Xenopus Community in Japan)」というアフリカツメガエル研究者の団体があり、毎年「日本ツメガエル研究集会」が開催されています。2年前には渡部先生がオーガナイザーとなって徳島で開かれました。
実験材料ではありますが、ホヤもカエルも长い付き合いなので、どうやら二人ともかなりの思い入れがあるようです。いろいろな动物を実験に使う生命科学の世界では、その动物を使う研究者を动物名で「○○屋さん」と呼ぶ习惯があるそうです。さしずめ、真壁先生は「ホヤ屋さん」、渡部先生は「カエル屋さん」といったところでしょうか。
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生命の秘密は巨大なジグソーパズルのようなもの
遗伝子と小分子搁狈础の世界を真壁先生は、学校のクラスに例えてくれました。例えば生徒それぞれに个性や役割があり、関係性があります。リーダー的な础君が休むことによりクラスのまとまりがなくなったり、给食係の叠君が休めば他の谁かが手伝わなければなりません。同じように搁狈础一つ一つのちょっとしたことで、身体のどこかに影响が出てきます。そのメカニズムはまだ全容が解明されているとは言えません。しかしながら研究は着実に成果を上げているのです。
「生物というのはいかに精密にできているのか。また生命体の各部位を正しく作っていくことが难しいことか、このメカニズムに挑んで全体像を解明していくことが最终の目标です」と、真壁先生。
渡部先生は、夏休みのオープンキャンパスや高大连携の体験実习などでも、高校生が生物学に兴味が持てるような授业を行っているそうです。
「生命のメカニズムは何十亿万ものピースがあるジグソーパズルのようなものです。次の世代にも伝えながら解明していかなければなりません。」
こうした研究が进めば医疗の分野にも大きな贡献となり、搁狈础をコントロールして病気を予防することも、难病を治疗する方法もさらに进化していくことでしょう。
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真壁 和裕のプロフィール
- 埼玉県出身
- 1984 年 3 月 京都大学理学部卒業
- 1990 年 3 月 博士( 理学), 京都大学
- 1990 年 4 月 日本学術振興会特别研究员(PD)
- 1992 年 4 月 日本学術振興会海外特别研究员 カリフォルニア工科大学リサーチフェロー
- 1994 年 11 月 京都大学理学部 助手
- 1995 年 4 月 京都大学大学院理学研究科 助手
- 2003 年 10 月 徳岛大学総合科学部 助教授
- 2005 年 4 月 徳岛大学総合科学部 教授
- 2009 年 4 月 徳岛大学大学院ソシオ?アーツ?アンド?サイエンス研究部 教授
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渡部 稔のプロフィール
- 爱媛県出身
- 1987 年 3 月 九州大学理学部生物学科卒業
- 1992 年 3 月 博士( 理学),九州大学
- 1992 年 4 月 日本学術振興会特别研究员(PD)
- 1993 年 4 月 米国フレッドハッチンソン癌研究所 博士研究員
- 1996 年 9 月 米国ハーバード大学医学部 博士研究員
- 2001 年 3 月 東京慈恵会医科大学医学部 助手
- 2002 年 3 月 岐阜大学医学部 助手
- 2002 年 4 月 岐阜大学大学院医学研究科 助手
- 2004 年 4 月 徳岛大学総合科学部 助教授
- 2007 年 4 月 徳岛大学総合科学部 准教授
- 2009 年 4 月 徳岛大学大学院ソシオ?アーツ?アンド?サイエンス研究部 准教授
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[取材] 142号(平成23年1月号より)
