菌の生存戦略に対抗するバイオフィルムの人為的コントロールを目指して

写真手前が藤猪先生。奥左侧が村上先生、隣が广岛先生。
お风吕场のヌルヌルは菌の生き残り戦略
ラボの长年の研究テーマは&辩耻辞迟;バイオフィルム〞。バイオフィルムとは菌の巣のようなもので、菌単体なら抗菌薬で死灭させることができますが、バイオフィルムを形成することで何らかの适応力を身につけ、抗菌薬が効かなくなるのだとか。「バイオフィルムの身近な例は、流しやお风吕场のヌルヌル。あのヌルヌルは菌が作ったバイオフィルムです。こすり取らない限り、なかなかとれないですよね?これは体内も同じで、普通の繊毛运动などではとれません」と话す藤猪先生。
共同で研究を行っている村上先生は緑脓菌を使って浮游菌と付着菌(バイオフィルム形成菌)の违いを探っています。「少し前まで、バイオフィルムはバリアのようなイメージで、薬が浸透しないので効き目がないと言われていましたが、実际は网目状になっていて、抗菌薬は入っているんですね。
そのためバイオフィルムの中で一时的に薬が効かない状态を作っていると考えられます。
その理由としていくつか候补が挙がっていますが、菌の遗伝子変异、抗菌薬の使い方の両方からアプローチしています。いつ解明できるかと言われると、人间が地球上に诞生する何百年も前から菌は生存しているので、まだ现状では菌の方が强か。バイオフィルムは菌の生存戦略です」。

居合わせた学生の皆さんが、撮影のため、普段の研究の様子を再现してくれました。
ありがとうございました!

抵抗性のある付着菌が引き起こす慢性感染症が拡大中
菌はバイオフィルムの中だと抗菌薬によって死にませんが、増殖もしません。しかし、何かの弾みで外に出ると、人间の场合、急性炎症を引き起こします。一时的に症状は治まっても体内にバイオフィルムが残っていると、慢性感染症として症状をぶり返すことがあり、こうした症状は増加倾向にあるのだとか。
「以前は菌そのものが遗伝子変异を起こし、薬が効かなくなる薬剤耐性菌が医疗现场で问题になり、中にはすべての抗生物质が効かない『スーパー耐性菌が出た!』なんて话もありました。
菌も进化しますから、新しい抗菌薬を作っても、新しい耐性菌を生み出すだけなので、今ある抗菌薬の活性をグッと高めて、慢性疾患を治すことが出来れば、患者さんのためになると思います」と村上先生。そのためバイオフィルムを作らせない、出来てしまったバイオフィルムを破壊するなど、人為的にコントロールする方法の解明が急がれます。
产业界においてもバイオフィルムのコントロールは注目されていて、例えば船底にヌルヌルが着かないだけで、燃料効率が格段にあがるのだとか。
「菌は局面、局面で使う遗伝子が违うのですが、浮游菌とバイオフィルム形成菌の遗伝子は违うのではないかと考え、菌そのものの遗伝子の探索をひとつのテーマにしています。と同时に、抵抗性を下げる薬物の探索を进めています。耐性菌に対し、バイオフィルム形成菌は『抵抗性を持っている』と言うのですが、この抵抗性をなくすために、いろいろな薬剤をスクリーニングをしたところ、础滨础という物质と抗菌薬を混ぜて使うことで、菌がバイオフィルム内で発生した抵抗性の遗伝子の力を抑制し、抗菌薬の効き目を维持することができるということが分かってきました。これが様々な菌に使えるかどうか、研究を进めています」。
バイオフィルムの形成を抑制する汉方や生薬の活用
藤猪先生は昔から汉方や生薬の研究を行っていて、汉方や生薬がバイオフィルムの形成に関わるのかどうか、120种类くらいの生薬でスクリーニングしたそう。
「全然効かないものもありますが、抑制率が9割を超えるものも。惭搁厂础という多剤耐性菌という抗菌薬が効かなくなっているものでさえ、生薬が効いてバイオフィルムを作るのを抑制しているものもありました」。
中でも注目は僕樕(ぼくそつ)という生薬。徳岛でよく採れるものだそうで、「オールマイティに効くのかというとそうでもないですし、汉方製剤として他のものが混ざると効きが淡くなりますが、歯周病菌や虫歯菌など口腔内细菌に効果があるという研究结果もあり、ハミガキ粉などの商品开発に繋がるのではないかと梦が膨らみます。将来、徳岛の笔搁に役立つかも知れない僕樕、ちょっと覚えておいてもらえるといいかもしれません」。
インフルエンザの発症を抜本的に抑制する方法も!
この他、ウイルスと免疫の研究も行っていて、インフルエンザについても研究中です。
「インフルエンザは毎年、流行する型が変わるため、厚労省とWHO が予測したインフルエンザワクチンを打って予防しますが、せっかく打ったのに、効かなかったということがありますよね?同じ型のウイルスでも表面のタンパクの変異が激しすぎるので、ちょっとでも変わると効かないんです。
それをもっと决定的に防止できないかと考え、感染した后、ウイルスが増殖する际にポリメラーゼという特别な酵素を使うんですが、このポリメラーゼに着目。ポリメラーゼを阻害することで増殖を防げるかどうか、絵に描いたようにワークするかどうかを実験しています」。
どれもまだ研究段阶で、すぐに役立つものではないそうですが、人と菌との知恵比べのような戦いの行方に兴味が尽きません。この先どうなったか、また别の机会にお话を伺えればと思います。

藤猪先生のラボの学生たち。

桂皮や枇杷叶など、一般的に知られている生薬に混じって
僕樕も効果を発挥している。

インフルエンザの予防に関するイメージ図。バイオナノカプセル
に蝉颈搁狈础を入れて、あらかじめウイルスが感染する细胞に投入することで、
増殖を防げると考えている。
大学院医歯薬学研究部 歯学域

教授
藤猪 英樹(ふじい ひでき)

准教授
村上 圭史(むらかみ けいじ)

助教
廣島 佑香(ひろしま ゆか)
